消化器系の病気 「虚血性大腸炎」
■高齢者と若年女性に多い大腸の炎症・潰瘍
大腸の動脈が何らかの原因で塞がり、血液循環が悪化して虚血状態(動脈の血が行き渡らない
状態)となり炎症・潰瘍を生じる疾患
●過性型・・・数日で治癒する。最多
●狭窄型・・・腹部の内部が狭くなる
●壊死型・・・潰瘍によって腸に穴が空く
原因としては、動脈硬化(血管が詰まり虚血状態となる)と便秘(いきむことでぜんどう運動
が亢進し、血管が引き伸ばされて虚血状態となる)の2通りがある。かつては前者を原因とし
た高齢者に多い疾患とされていたが、後者の原因から便秘がちな若年の女性でもみられること
がある。動脈硬化は加齢だけでなく、何らかの疾患によることもあるので、原疾患を探るとと
もに、動脈硬化の解消に努めることが必要となる。
◇症状◇
●突然出現する激しい腹痛●下痢●下血(新鮮血)●悪心●嘔吐●発熱
◇治療法◇
●薬物療法:抗生物質と、腹痛に対しては鎮痛剤などを投与する
●手術:狭窄が強い場合、壊死型の場合は手術となる
●安静・絶食:症状が改善するまで安静を保つ
●輸液
★高齢者には注意が必要です★
高血圧、脂質異常症、糖尿病などの既往があると起こりやすい
☑アセスメントのポイント
●高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓細動、膠原病、血管炎などの原因となる疾患があるか
●排便の頻度はどうか
●食事の内容、喫煙習慣はあるか
🌸ケアプラン作成のツボ🌸
今後の見通しと支援
虚血性大腸炎の多くは予後良好です。頻度の少ない壊死型では重症化し、命にかかわるこ
ともあります。動脈硬化や便秘を原因として起こるため、これらを改善し、再発防止のた
めの生活管理が重要となります。
日常生活の留意点
●動脈硬化、高血圧、脂質異常症、糖尿病などがある場合は、その治療と改善のための生
活指導を同時に行います
●医師の指示に従い、絶食など腸管の安静を保ちます
●症状が改善したあとも、便秘を予防するため、十分に水分と食物繊維を摂り、自然排便
の習慣をつけるようにします
●適度な運動をし、栄養バランスの摂れた食事をします
●禁煙を勧めます
医療連携のポイント
疾患の治療方針について確認