代謝・内分泌・免疫系の病気 「甲状腺機能障害」
■甲状腺ホルモンの分泌異常による内分泌疾患
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが、過剰であったり不足したりしていることによって
起こる疾患。 過剰な場合を甲状腺機能亢進症、不足の場合を甲状腺機能低下症として区別
する。 原因としてはバセドウ病(亢進症の原因)や橋本病(低下症の原因)などの自己免
疫疾患や、ヨウ素摂取過不足がある。また、何らかの疾患で甲状腺を摘出したり、放射線で
甲状腺機能廃絶したことで甲状腺機能低下症が生じる。
◇症状◇
【甲状腺機能亢進症】●甲状腺腫●頻脈●動悸●息切れ●疲労感●発汗過多●体重減少
●眼球突出(バセドウ病による)
【甲状腺機能低下症】●びまん性甲状腺の腫大●疲労感●倦怠感●気力の低下●皮膚の乾燥
●冷感●体重増加●便秘●過多月経●むくみ●脱毛●声のかすれ(嗄声)
◇治療法◇
●薬物療法 甲状腺ホルモンの分泌抑制あるいは代謝促進を図る。
甲状腺機能亢進症では、放射線ヨードを投与することもある
●食事指導 甲状腺ホルモンの産生にかかわるヨードを含む食品を、
亢進症ならば抑制し、低下症では補給するようにする
★高齢者には注意が必要です★
①甲状腺機能亢進症では、体重減少と疲労感が最多とされる
②甲状腺機能低下症では、物忘れや錯乱など認知症を思わせる症状が出現することもある
☑アセスメントのポイント
●服薬状況の確認
●1日の活動状況はどうか
●甲状腺機能障害以外の疾患はあるか
🌸ケアプラン作成のツボ🌸
今後の見通しと支援
甲状腺機能亢進症では、適切な薬物治療を行っていれば、甲状腺の機能が著しく
亢進している場合を除いて、疾患に伴う生活上の制限や厳しい食事制限はありません。
十分な栄養と休息でストレスをためないよう支援しましょう。
日常生活の留意点
●甲状腺機能が亢進している間は、心臓に負担がかかるため、
ある程度活動を制限する必要があります
●十分な睡眠や休養を摂り、ストレスをためないようにします
●甲状腺機能に悪影響を与えますので禁煙をすすめましょう
●ヨードの過剰摂取は甲状腺の機能を弱めることがあります。
甲状腺機能低下症でも、昆布などヨードを多く含む食事の摂りすぎには注意します
●薬物治療は重要です。しっかりと服薬ができるよう支援しましょう
●高齢者では認知症が現れることがあります。治療により改善しますので、
アルツハイマー型認知症などと間違えないよう注意します
副作用・治療の影響
甲状腺機能低下症では、肝機能障害を起こす頻度が上がり、
また薬物の副作用により肝機能低下が起こることがある