脳・神経系の病気 「アルコール依存症」
■自制が利かない飲酒行動により、生活に支障をきたす精神疾患
過度の飲酒により、アルコールによる精神的・肉体的な作用にとにらわれる薬物依存症のひ
とつ。次第にアルコールの摂取回数と摂取量が増えていき、飲酒を中断すると離脱症状が生
じるようになる。別名「否認の病」ともいわれ、本人に病気であるという意識がなかったり
、周囲の人間も性格上の問題として済まされていたりすることも多い。
アルコールを摂り続けることによる合併症も問題となる。
また、依存症状によって、事件や事故を引き起こし、家族や周囲の人間に迷惑をかけること
で、社会的な孤立にも繋がる場合がある。
◇症状◇
●感情の不安定化●手指の震え●不眠●意識障害など
【合併症】●高血圧●糖尿病●肝疾患●悪性腫瘍●精神疾患●ウェルニッケ・コルサコフ症候群
(意識障害、記憶障害、小脳失調、失見当識)
【離脱症状】●振戦●幻視●幻聴●せん妄
◇治療法◇
●断酒 離脱症状の予防薬、一時的にアルコールに弱くなる抗酒剤、飲酒欲求を抑える薬
剤などの投与
●対症療法 精神症状や合併症など、現れている症状の治療
●依存への心理的アプローチ 自助グループなどへの参加
★高齢者には注意が必要です★
①加齢によってアルコールに弱くなるため、離脱症状が長引き、身体合併症も多い。
認知症の原因になることもある
②定年退職などの環境の変化で発症することも多く、注意必要
☑アセスメントのポイント
●発症に至った生活歴、既往歴、現在の合併症の有無を確認
●環境の変化はないか
●本人の意欲かどうか 趣味、特技はあるか
🌸ケアプラン作成のツボ🌸
今後の見通しと支援
高齢者では、転倒や失禁のリスクも高まり、糖尿病、高血圧、認知症やうつ病を
合併することもあります。お酒を飲まない環境を整え、自力への意欲をもって生
活できるよう支援します。
日常生活の留意点
●断酒会などの当事者組織、アルコール依存症のリハビリテーションプログラム
などに継続的に参加できるよう、ケアプランに位置づけます
●アルコール依存症からの回復は長期戦です。断酒を破ってしまっても批判せず
、断酒の意思が再びもてるよう支援しましょう
●本人が自己評価を高められるものを見つけましょう
●軽い運動やリクリエーションを毎日の生活に取り入れ、リズムを持った1日を
送れるよう配慮します
医療連携のポイント
●離脱症状について今後の方針を確認
●身体疾患の合併症が現れた場合の対応
◇使える制度◇
精神障害者保健福祉手帳、 障害者総合支援法(自立支援医療)、断酒会やAA
(アルコホーリスク・アノニマス)など自助グループへの参加