■主にウイルス感染による肝疾患
何らかの原因で肝臓に炎症が起きるのが肝炎、慢性化して肝炎による傷を治す線維(コラー
ゲン)が肝臓全体に広がり、状態が悪くなったのが肝硬変。多くはウイルス感染による(A
型~E型の5種類)とされるが過度の飲酒、薬剤の服用、アレルギーや自己免疫異常なども
原因。肝硬変自体を治療する薬剤はほぼなく、対症療法が主体。
◇症状◇
【肝炎】●発熱●黄疸●吐き気●食欲不振●腹痛など
【肝炎重篤時】●全身倦怠感●意識障害●肝硬変・肝がん移行など
【肝硬変】●黄疸●腹水●くも状血管腫(首、胸、頬の斑点)●食道静脈瘤など
◇治療法◇
薬物療法:病状に応じてアルブミン製剤、インターフェロン、利尿薬などの投与
腹水穿刺療法:食道静脈瘤に硬化剤を注入して縮小
肝移植:肝硬変への薬物治療が奏功しない場合に検討
★高齢者には注意が必要です★
①C型肝炎では病状の進行が速く、肝がんとなりやすい
②インターフェロンによる抗ウイルス療法は、高齢者では副作用が強いため注意が必要
☑アセスメントのポイント
●食事制限はあるか
●治療内容について理解しているか
●禁酒はできているか
🌸ケアプラン作成のツボ🌸
今後の見通しと支援
慢性肝炎が続くと、一部は肝硬変となり、さらに進行して肝不全となる。
高齢者では肝細胞がんを合併することもある。重症化しないための生活管理が重要
日常生活の留意点
●飲酒は急性肝炎では厳禁。喫煙も控える
●食事はエネルギー量や栄養バランスに配慮。腹水がある場合には塩分の、
肝性脳症ではたんぱく質の制限がある。
●肝臓に鉄分が溜まりやすいため、慢性肝炎や肝硬変では医師の指示のもと、
鉄分を控える。
●散歩、水中運動などの適度な運動(急性肝炎では安静)
●肝硬変では、就寝前に軽く夜食を摂り、夜間の栄養不足を防ぐ。
●肝性脳症では、認知症のような症状や、羽ばたき振戦がみられる。最終的には昏睡状
態となる。早期の受診が必要。
医療連携のポイント
●日常生活上の制限
●急変時の対応
副作用・治療の影響
C型肝炎のインターフェロンによる治療は、発熱などの副作用が出やすくなる。
まれに間質性肺炎、抑うつ状態(自殺念慮)などを起こす
◇使える制度◇
B型・C型肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成制度
医療保険による訪問マッサージ