消化器系の病気 「逆流性食道炎(胃食道逆流症)」
■食の欧米化と高齢化によって増加する食道の炎症
逆流性食道炎は、強い酸性の胃液や、胃で消化される途中の食物が食道に逆流して、そこに
とどまるために、食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどさまざまな症状が生じる病気
です。逆流を反復することで、炎症が潰瘍や粘膜のただれに悪化していく。原因としては、
加齢による下部食道括約筋の機能低下、胃の内圧上昇(前屈姿勢、肥満、腹部の過度の締め
付け、食べ過ぎなどによるもの)、高たんぱく食、高脂質食、飲酒、喫煙、ストレスなどが
挙げられる。薬物療法によって比較的短期間で症状は改善するが、根本的な原因を改めなけ
れば再発も多く、生活習慣の改善も含めた長期的な治療が必要。
◇症状◇
●呑酸(胃酸が過剰に分泌され、口の中に逆流してくること)●胸やけ●胃もたれ●吐き気
●喉の不快感●咳・痰●腹部膨満感●食べ物が飲み込みにくい●食欲不振●上腹部通●胸痛
●声が枯れる、
◇治療法◇
●薬物療法 胃酸の分泌を抑制する薬剤を中心に、胃酸を中和する薬剤や、粘膜を保護する
薬剤も併用
●食事療法 飲酒・喫煙の抑制 脂質、たんぱく質、糖分。カフェイン、香辛料、アルコー
ルなどは避け、喫煙も控える 食事後すぐに横にならない
★高齢者には注意が必要です★
①骨粗鬆症のために後湾症(背中や腰が曲がる)になると消化管が圧迫されて逆流性食道炎
となる可能性が高い
②明確な症状が出ず、重症化してから発見される例もある
☑アセスメントのポイント
●逆流性食道炎となった原因は何か
●食事内容、食事のしかた、食事時間はどうか
●服薬状況はどうか
🌸ケアプラン作成のツボ🌸
今後の見通しと支援
自覚症状がなくなっても、再発しやすいため、生活習慣と食事に気を付け、
医師の処方箋通りに薬を服用することが大切
日常生活の留意点
●脂肪分の多い食べもの、甘いもの、柑橘類、コーヒー・紅茶、香辛料、
アルコール類、喫煙は逆流を起こしやすいため避ける
●腹八分目におさめます。早食い、暴飲暴食は厳禁
●食後はすぐ横にならない。夕食は就寝の2~4時間前に摂る
●ベルトでお腹を締め付ける、重いものを持つ、前かがみの姿勢など、
腹圧が高まるような動作や姿勢を避ける
●寝るときに枕を高くしたり、上体を少しあげるようにします。
身体を右下にする姿勢も有効
医療連携のポイント
●継続的な通院
●胸やけの症状が強い場合は主治医に相談